02柴田社長 Special Interview

―まずは、こんなエピソードを紹介させてください。春、緊急事態宣言などが発出していない時期にLOGOSの撮影で関東のキャンプ場を訪れたんですね。その時、「LOGOS THE KAMADO EMiwa」でピザを焼いていたんですが、お父さんに抱っこされた女の子が通りかかりまして。その子はぐずっていて機嫌が悪そうだったんですけど、EMiwaに笑顔があしらわれていることに気づいて急に笑ってくれて。「お父さん、あれ!」とその子に教えられたお父さんも笑顔になって。

柴田社長:そういうエピソードは一番うれしいですね。

―その時、過去のインタビューで「ミッキーマウスを見て自然と笑顔になるように、LOGOSもそういうブランドを目指したい」と語っていた社長の言葉を思い出しまして。まさにそれじゃんと。ただの取材者なのにこちらまでが誇らしい気分になれました。

柴田社長:昨日も直営事業部という部署の若手と話していたのですが、ロゴスショップという現場を見なさいと。お客さんと接する機会をなるべく多く作りなさいと。そこで得られるものはなにものにも変えがたい経験なわけで。この取材でもお話ししていますが、我々はアウトドア製品を生み出すプロフェッショナルだけれど、アウトドアを楽しむプロフェッショナルはユーザ―の方ですから。それとは別に、業種を問わず「お客様とともに成長しましょう」というニュアンスの言葉ってあるでしょ? あの言葉は僕、LOGOSに関しては当てはまらないと思う。むしろ、絶対に成長したらダメだと思っているんです。

もちろん、細部や個別の事象では成長すべき部分も当然あるでしょう。でも、原点は絶対に忘れてはいけない。忘れないという意味で成長してはいけない。じゃあ原点はなにかと突き詰めれば、女性や子供でもアウトドアを楽しめるようなモノ作りということ。僕自身も65歳と年齢は重ねましたけど、アイテム開発の視線は子供のそれを忘れないようにしていますから(笑)。

―原点という言葉でリンクさせると、「たき火好き」「炎愛好家」を公言し続けてきたLOGOSが、今回の展示会で新製品の発表だけではなく、「MAKIBI料理」(※たき火を楽しみながら薪火で調理すること)という提案をしていたのがユニークだなぁと感じました。

柴田社長:たき火を好きになった原体験は以前お話ししたと思うんですけど、そのあとでね、たき火関連の書籍を何冊も買うほどにハマった時期があったんですよ。そんな書籍のなかのある一説によればなんですけど、原始人が火というものをはじめて見つけたと。その人が爆発のあった火山に行ってみるとなんだかいい匂いがする。匂いの元を辿ってみると鹿などの動物が焼けていて、おいしそうな匂いがした。食べたい。でも食べたことないし大丈夫か? でも結局、そのおいしそうな匂いの誘惑には勝てなくて、食べてみたらおいしかったと。

―おぉ~、人類初のBBQ!……かもしれない説ですね!

柴田社長:そう、説なんですけどね(笑)。

それで、その人物は火というものに興味を持って付近を探すと、粘土質の土壌で火が燃えていることを発見して集落に持ち帰ってみる。みんなが集まる広場で、さらに大きくなるように火を灯す。いまでいう、たき火です。すると、火を囲むように多くの人が集まってきたと。おそらく、動物を焼いて食べることも教えたんでしょうね。みんなが火に集まるし、ありがたがる。でも、その火のありかはその人物しか知らないから、たちまち村のリーダーになって尊敬されたらしいんです。たき火の魅力は、そういうところにあるなぁと、僕にとっては説得力のある説でした。LOGOSのたき火台「ピラミッドTAKIBI」シリーズがロングセラーとなっている背景も、その魅力と無縁ではないのだと思います。


―今回の展示会「2022 THE LOGOS SHOW」のテーマは「STRONG LOGOS」でした。こちらのテーマに込めた想いについても教えてください。

柴田社長:いまの時代はドラスティックな構造変化が各所で起こっていて、アウトドアブランド業界も同様だと感じています。たとえば、個性的で魅力的なガレージブランドが多数登場している。じゃあ、LOGOSというブランドの強みはなにか。その原点に立ち返るためのキーワードが「STORONG LOGOS」でした。ふたつのSTRONGがあると思うのですが、ひとつは「Enjoy Outing!」というキーワードです。海辺5メートルから標高800メートルのエリアでとことんアウトドアを楽しんでもらえるアイテムを作るイズムのことで、さらに具体的に言うのなら「MAJIME LOGOS」として特集されている部分。テントなら、PANEL SYSTEMであるとか、デビルブロックのメッシュであるとかのLOGOS独自の機能のことです。

―展示会の新作テントでは、「MS」という英字をあしらった「マッドスカート」のアイコンも印象的でした。

柴田社長:「マッドスカート」という機能自体は、新しいものではなくて昔からこだわっていたものなんです。

ただ、ユーザーの方への伝え方がいままでは若干弱かったから、今回、新たなアイコンを作成したんですね。そもそも、マッドスカートの機能は、テントへの隙間風が防げて寒い季節でも快適にすごせるというものなのですが、4辺のうちの一部しか採用していない他社製品もある。単純にコストを下げられますからね。でも、LOGOSは4辺全部の「フルマッドスカート」を主要アイテムに採用しているんです。なぜなら、LOGOSはMAJIMEなので(笑)。

―では、ふたつある「STRONG」のうち、もうひとつとは?

柴田社長:「家族と寄り添うこと」です。2年前の『カンブリア宮殿』というテレビ番組にLOGOSが登場させてもらった時、村上龍さんが「この柴田社長という人はアメリカでキャンプが流行しているからとかのマーケティングではなく、ご自身が家族キャンプをしていて息子さんが『親父、かっこいい』と言ったひとことでビジネスになると感じてスタートしているのがおもしろい」と、打ち合わせの段階でスタッフに語ってくれていたらしいんですね。今日のインタビューでの頻出ワードの“原点”でいうのなら、「家族と寄り添うこと」もまたLOGOSの原点のひとつなのだと思います。

―そんな「家族と寄り添うこと」の新たな展開として、高知県須崎市とのコラボレーションとして、LOGOS PARKというテーマパーク事業も発表されました。

柴田社長:選択と集中という言葉がありますよね。いまの時代の経営のトレンドのひとつでもある言葉です。ところが、LOGOSはテーマパーク事業やカフェ、レストランの経営などにも挑戦していますから「アウトドアブランドとしては多角経営なのでは?」というご指摘をいただくこともあるんです。多角経営という言葉の捉え方にもよりますが、その指摘にマイナスの意味が含まれているとするのなら、それは違うと。LOGOSは断じて多角経営などではなくて、多重奏経営だと思うんです。アウトドアブランドとしてのモノ作りも、カフェの運営も、テーマパーク事業の挑戦も、楽器が違うだけで、奏でている曲のタイトルは「Enjoy Outing!」というひとつの楽曲なのですから。

インタビュー・文/唐澤和也(Punch Line Production)

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お世話になっております。アタッシュ課です。2021年9月7〜10日に東京都新宿にて開催されたLOGOSの展示会「2022 THE LOGOS SHOW」ではこれから発売される新製品も多数発表されているとお聞きしました。果たして我々アタッシュ課は次なるアイテムを発掘できるのか⁉︎ いざ、会場内へ!

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