突然ですが、読者の皆さまに質問です。「サンライズとサンセット、どちらが好きですか?」。これは、太陽といっしょの旅でしたから、父島や母島で出会う人にも問いかけ続けた質問でもありました。

 データ的には、まったくの五分五分。朝日も夕陽も同じくらい好きな人がおりました。ただですね、サンセット好きには独特な派閥がありまして、それは「朝、起きられない」「だから、サンライズを見たことがない」という消去法で選んだともいえるサンセット派の人たち。月刊LOGOSなどの仕事のおかげですっかり朝型人間になったワタクシですが、超インドア&夜型人間だった頃を思い出すと、納得の回答でした。

 というわけで、このページでは、ちょっと変わったことに挑戦しながら旅をしめくくってみたいと思います。「サンライズとサンセット、どちらが好きですか?」という質問で印象的だった言葉を紹介しつつ、父島から23区の方の東京へと帰って行こうと思います。6月27日。港には、あの夕焼けフラダンス以来、お世話になりっぱなしの川口家と亀﨑家がお見送りに来てくれたのでした。

 港というよりも港の端まで走って見送ってくれた川口匡世さんは、「サンライズとサンセット、どちらが好きですか?」という質問に対して「どっちも好き」という珍しい回答パターンでした。

「昔、沖縄をひとり旅した時、宿のおじさんに夕陽を見に行くと言ったら『朝日を拝みなさい』と教えてもらったんです。拝むという言葉にすごく納得して、それ以来、朝日も大切にしていて、父島では宝来山のご来光を拝んでいるんです。でも、サンセットも好きで。あの日もそうだけど、夕陽って人が集まるんですよね、約束してなくても。そこが好き。あの日は私の誕生日だったんですけど、約束したのは踊った3人だけで、ほかの方は自然と集まってくれたんですよね」

 川口さんの言葉は忘れられないのですが、その頃一方、誌面上は23区のほうの東京へと着々と帰っとります。上の写真は「おがさわら丸」からの景色やら夕陽が沈む瞬間やらカメラマン関くんが仲よくなった人々。なにしろ24時間の船旅ですから。行きもあわせれば、48時間ですから。そりゃあ、帰りの船では仲間意識が芽生えて仲よくもなるってもんです。

 仲よくなったといえば、ボビーさん(※ボビーさんとサンセットカヤック参照)のコテージで開催したBBQでのこと。川口家と亀﨑家が参加してくれたファミリーBBQとは別日に、宿泊者とその仲間たちBBQを開催したのですが、元高校球児にして現役の消防マンの若者は、あまずっぱいサンセット派メモリーを教えてくれたのでした。

「高校で野球を真剣にやっていたんですけど、夕陽が沈むとノックができないから、練習が終わっちゃうんですよね。疲れ切ってる時は〝早く沈め!〟とか思うこともあったですけど〝あぁ、終わっちゃう。もっと練習したかったなぁ〟と思うことのほうが多くて。だから、好きというのではないかもしれないですけど、思い出が詰まっているのは、朝日よりも夕陽なんです」

 実際の船旅の24時間はなかなかなのですが、こうして写真と思い出といっしょに帰ると、あっという間の一瞬なんですね。もうすぐ、東京竹芝の港に到着してしまいます。

 というわけで、最後にふたたび読者の皆さまに質問です。「サンライズとサンセット、どちらが好きですか?」。自分自身のことも考えたのですが、景色としては登山にはまっていた頃の奥穂高山頂(3190メートル)からのサンライズが忘れられないのですが、この旅で出会ったパンチラインのように思い出とリンクしていないのがちょっぴり悔しかったりします。

 なので、大先輩の言葉でこの旅をしめくくりたいと思います。「母島の虎」で出会った漁師の森正博さんは、僕の質問にこう答えました。

「朝日か夕陽なら、沈むほうが好きです。陽が落ちたら仕事も終わりで、嫁さんと一緒に飲めるからね」

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