ご当地BBQ@広島

VOL.98

ご当地BBQ@広島

うららかな日が1日ずつ増えていくうれしい季節。そろそろ体が“外ごはんモード”になってきた方も多いのではないでしょうか。そんな方々にピッタリな特集がコチラ、ご当地BBQです。47都道府県を1県ずつめぐり、土地のものを味わう春の恒例企画。5回目となる今回は広島県です。キラキラの瀬戸内海、アツアツのお好み焼き、プリプリの牡蠣。気持ちいい食べっぷりを見せてくれたラガーマン家族とたっぷり楽しんだ1日をレポートします。

撮影/関 暁 取材・文/安部しのぶ

01ぶちうまごはん

広島に来たら「広島風お好み焼き」と言ってはいけない…というのを、現場に行ってすぐに知りました。焼きそばたっぷり、キャベツの千切り山盛りのこれが、広島では「お好み焼き」です。グリルもエコココロゴスも大活躍、焼いて焼いて焼いたご当地グルメの数々をご堪能あれ。

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02ラグビーと家族

午前11時集合。
よく食べ、よく遊び、よく笑う。すべてにおいてフルスイングな彼らには「健やか」という言葉がよく似合います。こんないい写真、載せないのはもったいない! BBQの合間に見つけたすてきな家族の風景もお届けします。

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03

ひと足お先に感じた春。30個の牡蠣を買う。

 3月下旬の気候は毎日がくじ引きだ。当たりを引けば春のポカポカ陽気、外れを引けば真冬の寒さ。ツンとデレの振り幅が激しい季節。そして毎年この時期に開催する「ご当地BBQ」は、そんな天候こそが最重要課題。各都道府県でBBQするというだけの単純明快な企画だからこそ、楽しくやれるかどうかはお天道さまにかかっている。
 迎えた3月26日。新幹線の広島駅のホームに降りると、スッキリとした青空が迎えてくれた。風もあたたかい。今年はじめて感じる春だった。よしよし! と心の中で歓喜する。
 今回一緒にBBQを楽しんだのは、広島の某企業のチームに所属する現役ラガーマンのみなさんと、その奥さんと子供たち。キャンプ場に歩いてくる姿を見て、「あ、スポーツ選手が来た」とわかる。ガタイがいいのはもちろんだけど、姿勢がよく、体幹がしっかりしているのが歩き姿から伝わってきた。
 BBQは大量の牡蠣を焼くところからスタート。養殖場から直接仕入れた新鮮すぎる牡蠣をグリルにのせる。しばらくすると、もう耐えられない、とばかりに殻がぱくっと開いた。びっくり。かなり立派な身が入っている。味は濃厚で、ひとつ食べたら満足感がすごい。とてもおいしい。おいしいけど…こんなに大きいなんて、どうしよう。30個も買い込んでしまった。ラガーマンがたくさん食べるといっても2人しかいないし、こりゃ大量に余ってしまいそうだ…と自分の判断を悔やんでいると、2人が「もっと来れる人おると思いますよ」と言う。「○○に電話してみる?」「××は今日仕事休みなはず」などと言い合いながら2人で次々電話をしてくれること30分、後輩ラガーマンが2人やってきた。明らかに「これは食べるぞ」という体をしている。ありがたい。すぐに声をかけてくれる先輩、声をかけられたらすぐに来てくれる後輩、そのチームワークのよさとフットワークの軽さに感謝した。後輩は「来ないと先輩、コワイんで…」と恐縮していたけれど、先輩に無理やり焼きそばを食べさせようとしている姿を見て嘘だとわかった。むしろすごく仲がいい。スクラムを組んだり激しい接触があるスポーツだからだろうか。先輩も後輩もなく、肉体の距離感がなんだか近い。タープに頭がつくくらいの大男4人がワハハハ! と男子高校生のようにじゃれあっている。そんな旦那さんを眺めながら「息子がもうひとりいるようなもの…」と奥さんがつぶやいたので吹き出してしまった。奥さん同士も仲良しで、旦那さんに関係なく楽しくおしゃべりしている。このラグビーチームには選手の奥さんだけで集まる「妻の会」なるものがあるらしく、そこで絆を深めているそうだ。なるほど「選手の妻」同士、というだけじゃない空気感は、そういった時間をすごしているからなのかもしれない。


 子供たちと遊ぶのも楽しかった。コットを並べれば基地になり、ハンモックは船になり、シュラフをかぶれば幽霊になり、瀬戸内海に浮かぶ島は海賊の島になり。想像力を発動させながら走り回る姿がキラキラしている。一方、アウトドアアイテムを使って燃焼実験を行ったりと、遊び方がひときわ知性にあふれていた奏汰くん(8歳)はラグビーよりも勉強が大好きな様子。分子について学び中(!)らしく、それぞれの原子が結合したら何になるかをレクチャーしてくれた。「毒はもともと自然の世界にはなかったんだ。火を使い始めたり、人間がいろいろやったことで生まれたんだ」という一言が示唆に富みすぎてて、小学2年生の言葉とは思えない。そんな姿を見てお母さんの奈央さんは「私が今まで読んだ本の数、もうこの子に追い越されたと思います」と笑った。
 広島のお好み焼きとか、瀬戸内海の鯛めしとか、ごはんがとにかくおいしくて手が止まらず、あっという間に時間がすぎていく。このBBQはなんだろう? 楽しいのはもちろんなんだけど、なんだかずっと健やかだ。とはいえ別に生真面目みたいなことでは全然なくて、ビールを飲んでくだらない話をしてゲラゲラ笑っているのに、そう感じるのはなんでだ……と思って、はたと気づいた。ラガーマンたち、全然座らない。全員でテーブルについて「いただきます」をした最初の時間以外はずっと立ってるか動いているかしている。チェアに座ってダラダラする、いわゆる「チルアウト」な時間が一切ないのだ。ひとりに聞けば、座るのがあまり好きじゃないらしい。「仕事中も座ってると逆に疲れてきます。外に出たくなりますよね!」と爽やかなスマイルをくれた。ラガーマン、健やかなり。
 みんな本当によく体を動かしていた。浜辺で大人も子供も男女もなく、ひとつのラグビーボールを追いかけている。よくよく見れば、全員が全員、仲がいい。自分の子供じゃなくチームメイトの子供と笑っていたり、後輩の独身ラガーマンと先輩の子供が遊んでいたり。なんだか全部がひとつの家族みたい。そんなことを思っていると、ラグビーにまつわる雑談でこんな言葉が飛び込んできた。
「僕らは大会ごとにスローガンを決めたりするんですけど、それ以外にずっと変わらないスローガンというか、根本に『ONE TEAM』っていう言葉があって。『家族みたいに』っていう意味なんですけど。家族としてチームを作ろう、っていう。そういう意識はみんなあると思います」
 結局、30個の牡蠣を全部食べきることはできなかった。でも、余った食材は社宅にいる他の選手にあげたいから持ち帰るという。そんなところも「ONE TEAM」。健やかなるラガーマン精神。今日のBBQはきっと、外れくじの天気だったとしても楽しんだに違いない。
 そして次は、浜辺じゃなくフィールドでボールを追いかける彼らを見てみたいと思った。関東に遠征することはあるのだろうか? もし、そんな機会があるなら駆けつけたい。東京のご当地土産を持って。


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