雨と家族と。GOOUT JAMBOREE 2018

VOL.86

雨と家族と。GOOUT JAMBOREE 2018

月刊LOGOSでは4度目となるGOOUT JAMBOREE。過去には朝のテントが凍っていたり、まさかの悪天候にみまわれたりとエピソードに事かきませんが今回もワンダフォーでした。基本、雨。それも、なかなかの雨。カメラマンのレンズは曇るわ、ライターの取材メモは雨で読めなくなるわ……。それでもずっとEnjoy Outing!な空気感を感じられていたのは、今回のテーマが「家族」だったからかもしれません。

撮影/関 暁   取材・文/唐澤和也

01家族のち雨!

GOOUT JAMBOREEの楽
いい意味でOH MY
月刊LOGOSの取材
GOOUT JAMBOREEの楽しみのひとつと言えば? そうです。富士山を見ながらのキャンプです。ところが、天気予報通り徐々に天候が崩れだし、やがて雨模様となったのでした。でも、ご安心を。編集部が出会った家族たちは、それでも笑顔でEnjoy中だったのでした。

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02雨のち富士山!

GOOUT STAGE(メイ
雨でも笑顔。そんな言葉に嘘はありませんが、それでもねぇ……やっぱりねぇ……お天気がいいにこしたことはありません。というわけで。読者のみなさま、お待たせしました! あの人のてるてる坊主が効いたのか、なんと、2日目には富士山が、その勇姿を見せてくれたのでした。

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03

「雨と家族とGOOUT」

 月刊LOGOSとし
 月刊LOGOSとしては4度目、個人的には3度目となるGOOUT JAMBOREE(以下、GOJ)は、滞在時間のほとんどが雨だった。
 とはいえ、さほど苦にならない。なにせ、1度目のGOJは人生初キャンプだったのにもかかわらず、前夜祭からずっと&もっとひどい雨だったし、だからこそ最終日にさしこんだ太陽のありがたさと、富士山の美しさにちょっぴり感動さえした。あのご褒美がなかったら、もしかしたら月刊LOGOSは、かなり早い段階で廃刊になっていたかもしれない。編集長がアウトドアに向いていないという元も子もない理由で。
 そもそも月刊LOGOSのはじまりのコンセプトのひとつは、「アウトドア初心者である編集長の育児日記のようなもの」。であるからこそ、2度目の極寒キャンプin GOJも耐えられた気がする。北海道出身の友達に「寒くて寝られない夜がある」と聞いたことがあったけど、まさか4月末の関東でその経験をするとは。あまりに寒くて「これか? これが北海道人が味わう例のやつなのか?」と半笑いで何度か目覚めた。翌朝起きると、テントが凍っていたことになぜだか妙に納得しながらも、太陽の光が射しはじめると、そのぬくもりが溶かしたのは凍てついたテントだけじゃなかった。
 そして、4度目にして最新のGOJ。
 前夜祭から数えて2番目の夜からの雨は、明け方には、手練れのドラマーが奏でるようなリズムで雨音がテントを叩いた。しかし、寒くはない。余裕余裕。全然寝られる。楽勝だ。少々ハードだったことと言えば、レインウエアを着込んでトイレに行くのがめんどくさくて、自分の限界に挑戦したぐらいなもの。
 なにより、「家族」というテーマがよかった。
 雨の日が続いても、子供たちはずっと笑ってくれている。GOJに限らず、雨の日のキャンプでおなじみのEnjoy Outing!の天才児たちによる天候お構いなしの笑顔。インドのことわざに「息子は暗い家庭のランプだ」という言葉があるそうだが、まさにそんな感じだった


 じゃあ、どういう「家族」だとランプは、より輝くのか? 
 あるお母さんは、その秘密を「待たせないこと」だと教えてくれた。
「とにかく、子供を待たせないことに気をつけています。まだ子供が生まれる前から夫婦でアウトドアが好きだったから、本当はちゃちゃっとテントを建てたいんです。でも、まずは子供が待たないようにする。たとえばペグを持たせるだけで、実際にペグダウンしてくれなくても楽しそうにしてくれたらそれでよくて。あと、ふだんの生活ではお菓子を与えない方針なんですけど、キャンプでは特別にあげるようにしているんです。さっきのペグダウンふうなことをがんばってくれたり、私がいなくてひとりで待ってくれたりした時に。でもそれって、子供のためというより自分がイライラしないようにするための工夫かもしれません。キャンプの時はとにかく楽しい自分でいたいから」
 いっぽう、ランプが輝いている「家族」の父親はどうかと言うと、おしなべて放任主義派が多かった。コメントも先のお母さんのような工夫はなく、「ま、元気に育ってくれたら」「子供への接し方? 家もアウトドアも変わんないかなぁ」「モンパチのライブが楽しみです」などなど。本誌読者に参考になりそうなサンプルを選りすぐっても「友達の家族と一緒というのはいいかもしれない。うちは女の子なんですけどキャンプに連れてくるまでは虫が苦手だったんだけど、平気な子を見てるうちに大丈夫になりましたから」というものぐらいだった。
 そういう意味では、一番の参考例は、関ファミリーだった。
 本誌でおなじみのカメラマン・関暁氏は生粋のアウトドア派で(若い頃はバイクでひとり旅に出てキャンプというより野宿をしていたらしい)、3人の子供がいるのだが、今回、撮影スタッフ兼シェフ兼長男として編集部に加わってくれたのが丈汰くん。この丈汰くんが、24歳男子レベルとしては尋常じゃなく料理がうまい。おそらく生粋のアウトドア派かつ抜群に料理上手な父親の影響だと思われるが、前夜祭の夜のクリームシチューやカモのロースト、2日目の夜のたきこみご飯(写真上)も彼の手によるものだ。
 丈汰くんになぜ料理が得意になったか聞いてみる。
「小学生の頃からお父さんの手伝いをしてたからですかね」
 じゃあ、そんな関家での一番最初のキャンプの思い出なら?
「アイスラッガー」
 ん? アイスラッガーって、ウルトラセブンの頭についてるブーメランみたいな武器のことだよね? なぜにそれがキャンプの思い出なの?
「お父さんがはじめてキャンプに連れていってくれた時、移動が電車だったんですけど、その時大好きなウルトラセブンの人形を持って行ったんです。でも、途中でアイスラッガーがなくなっちゃって。つるつる頭って、そんなのウルトラセブンじゃないじゃないですか? びーびー泣いたのを覚えています」
 アウトドアの話でも、父と息子の話でもなくなっちゃったけど、おもしろいからまぁいいか。それに、アイスラッガーの話を思い出して笑った丈汰くんを見て、カメラマンの父親もつられて「あったな。そんなことも」と笑っていたのが、なんだかとっても「家族」だった。しかも、丈汰くんは写真を学ぶために7月からフランスへと旅立つ。その将来の選択には、カメラマンである父の背中も影響しているんだろうなぁと想像すると、なんだかすごいことだ。GOJで出会った多くの放任主義な父親と同様に、カメラマン関氏もまた、息子の将来にああだこうだと口出しするタイプではないのだから。


 てるてる坊主というのも、あなどれない。
 GOJ最終日は、天気予報をくつがえす晴れ間に恵まれ、前夜祭時にしか見られないと言われていた富士山も拝めたのだ。GOJで、富士山を見られるかそうじゃないかは全然違う。とくに関西や東北からの参加者は、それを楽しみにしている人も多い。
 ちょうど晴れ始めた時にそのてるてる坊主を見つけたというのもあって、まさかの晴れ&富士山降臨は、それを作ったチョウさんのおかげだと思わずにはいられなかった。
 チョウさんとはサイトが隣り合わせた縁で仲良くなった。
 彼女はDE DE MOUSEが好きだそうで、たまたま入った中目黒のお店でGOJでもアクトすることを知り、彼氏を誘ってふらりと訪れたのだそうだ。晴れて間もなくのバスで帰らねばなスケジュールだったけれど、その気軽さがよかった。ふたりは帰りのバスの車窓からでも、富士山を見られたのだろうか?
 そういえば、家族をテーマに取材をしたせいか、これから家族になるかもしれない人たちのことも気になった。
 たとえば、福島から車で5時間かけて訪れていたふたりのこと。
 彼氏の仕事は食品関係。ふだんはクリーンルームの中で太陽と無関係な環境だから、はじめてキャンプをした時の「朝のざわざわ感にやられました」との言葉にリアリティがあった。誰かがコーヒーを淹れたり、ただ歩いている人のざわつきが妙に心安らぎ、それでキャンプライフにハマったのだそう。その時間を共有できたのがいまの彼女で、ふたりのなかで結婚を意識しているであろう感じが初々しい。ふたりは結婚するのだろうか?
 家族もこれから家族になるかもしれない人たちも。
 みんながEnjoy Outing!し続けられますようにと願って。
 ……なーんて、そんな言葉に嘘はないけれど、この文章のまとめとしてはキレイすぎる。なぜなら、今回のGOJで一番感じたのは、自分自身のうぬぼれについてだったのだから。
 冒頭でも書いたように、月刊LOGOSのひとつのコンセプトはアウトドア初心者だった編集長の育児日記。今回の雨なんて、1回目の大雨と、2回目のめちゃ寒な夜に比べれば「さほど苦にならない」などと書き連ねてもいるし、内心では「成長したなぁ、この8年間で」とさえ思っていた。
 ところが、取材終わりで丈汰くんと雑談していると「やっぱり富士の裾野は寒かったですね」などと言う。ん? そうかなぁとよくよく調べてみると丈汰くんの寝袋は自分が使っていたものとは温度帯が違っていた。自分のものはマイナス2℃までOKなスペックの高いもので、丈汰くんのは2℃までのもの。つまりは、キャンプに慣れたから寒さを感じなかったわけでもなんでもなくて、アイテムに守られていた。今回のテーマふうに言うのなら、それらのアイテムを用意してくれるLOGOS広報チームの母的な愛で、過保護に育てられていたことになる。
 フランスのことわざには「自分を知ったらうぬぼれは吹っ飛ぶ」というものがあるそうですが、いままさに、そんな感じです。
 というわけで、本誌編集長は初心にかえります。人生初に挑戦しようと思います。この夏、GOJでもお世話になっている富士山にはじめて登ります。
 って、登れるかなぁ。ドキドキしますが、まずは高尾山からはじめてみますので、人生初富士山登頂の記をもう少々お待ちください。


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