秋雨キャンプ、いとをかし。

VOL.80

秋雨キャンプ、いとをかし。

秋が来ると思い出す……なーんて読者は、そうとうな月刊LOGOSマニア。6回目の秋キャンプは、はじめての@関西編です。赤や黄色の木々に囲まれて絶好の秋キャンプ日和!……と思いきや、当日はまぁ見事な雨。一時は中止も考えましたが、雨ニモマケズ、風ニモマケズ。むしろ「いとをかし」な風情があったのでした。さりげなく、2018年の新製品も登場しちゃう今年の秋キャンプリポートを、どうぞ!

撮影&MOVIE/関 暁  取材・文/竹内順平

01Enjoy Raining?

お昼の12時。さ
「やばい、雨だ!」。その時、編集部は心のなかで叫んだのでした。ネガティブなときもポジティブなときにも使える「やばい」という言葉。さてさて、雨のなかの秋キャンプで飛びだした「やばい」はどっちの意味だったのでしょう? ヒントは家族の肖像にあふれてしまう笑顔です。

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02

取材後記

「ひとつ屋根の下で。」

「やばい」から始まった今回の秋雨キャンプ。実は、僕がはじめてキャンプに行ったのは昨年の月刊LOGOS「WILD7 SWEETS5」の企画で、夜寝るときもソワソワしていた記憶がまだ真新しいです。そのあとも何度かのテント泊を体験して(あれ? キャンプってシャワーを浴びれないんだ?)とか(え? 春なのに夜ってこんなに寒いの?)などと声にならない驚きを重ねてきました。しかし、今回は格別でした。あ、申し遅れました。私、竹内順平28歳、アウトドア初心者でございます。
 どのぐらい格別かと言いますと、LOGOSとは別の仕事で「気仙沼漁師カレンダー」という、ある種のアウトドア体験もさせていただいているのですが、その撮影は午前1時から正午まで真冬の船に乗るような過酷なものです。とにかく寒いですし、漁師さんの作業は短調でもあるので、巻き網の機械音のリズムが催眠術のように襲いかかってきたりもします。正直、キツイです。でもです! 今回の秋雨キャンプは竹内順平史上2位に輝くほどに過酷でした。だって、どしゃぶりですよ! 台風も近づいていたんですよ! 初日に「帰りましょうよ!」って言ったんです(心の中で)。


アウトドア初心者の取材者は叫んだ。「雨なんて、大嫌いだ!」(心の中で)

 僕はその日の雨を恨みました。そもそも、なんで雨が嫌かと言えば、濡れるし、汚れるし、寒いし……。いいことなんてひとつもない。グラビアで登場する「やばい、雨だ!」のやばいは、僕の中では本当にネガティブな意味でしかありません。
 過去の記憶を思い返しても、雨が降ってうれしい気持ちになれたことはほとんどなし。なにせ、高校時代に部活が雨天中止となってガッツポーズをしていたタイプですから。そんな「雨」にいい印象がなかった僕が、今回の秋キャンプで少しだけ見方が変わりました。それは雨さえもEnjoyしていた浜西家のおかげです。

 そもそも、キャンプってなにが楽しみなんだろうと考えました。家を飛び出して外で遊ぶという楽しみ。それは非日常的な体験がそこにあるからだと勝手に思っていました。ところが、浜西家を見ているとキャンプって「非日常」とは言い切れない気がしたのです。家族と暮らす場所を一時的に変えてみる。旅行というよりも、短期的なお引っ越しというか、家族みんなで新しい場所でちょっとだけ生活してみる。それは特別なことを求めているわけではなく、「家族といる時間を濃くするもの」のように感じました。そう思えた時、ふと雨が最高の演出に感じられてきたのです。やんちゃな子供たちも雨に濡れないようにタープの下にいようとする。360°が玄関口のようなタープですが、あけっぱなしの扉から誰も出ていこうとしません。つまり、家族全員が一緒にいる時間が圧倒的に多いのです。ひとつ屋根の下で暮らす浜西家を見ていると、(きっと自宅のリビングでもこんな感じだろうな)と思えるほど、すごくリラックスをしていて、コミュニケーションが豊かでした。
 そして、「雨だからこそどうやって楽しもうか?」という家族の団結力とその姿勢が本当に素敵でした。子供たちが雨という環境の中で自分がやりたいことを探したり、自分の意思で雨をも楽しむ無邪気さとかっこよさ。子供ってたくましいなと心から感動しました。


LOGOS製品開発者の浜西は考える。
「本当に喜ばれる道具ってなんだろう?」

そのかっこよさの秘訣は、ご両親の子供に対する接し方にもあると思います。「包丁以外のことはたいてい子供たちに自分でやらせてみます。失敗してはじめて学ぶことはいっぱいあると思いますから」と言っていたお父さん。なにより、その失敗のあとのフォローが粋でした。楽信くんがぶんぶんとトンカチを振りまわしながらペグを打ち込んでいるとき、ペグは打ち込めないし、周囲の人にケガをさせてしまう心配があったので、お父さんは「やめろ!」と注意しました。そのあとです。「なんでやっちゃダメなのかわかるか?」と理由を自分で考えさせるんです。父である浜西千尋さんは、LOGOSの製品開発担当者のひとり。この光景を見ていて、浜西さんが製品企画と向きあう想いとリンクしているんだなぁと気がつきました。
 浜西さんはLOGOSの製品を企画するときに、他社の製品を研究しすぎないように意識しているそうです。「そもそもキャンプってなんだろう?」とか、「本当に喜ばれる道具ってなんだろう?」とか、常に企画する製品と本質的な問いかけで向き合い、サンプルが出来上がればその製品を持ってキャンプに行ってテストする。たくさんの失敗があったそうですし、うまくいかないことは多々ある。なんで失敗したのか。なんで喜んでもらえないのか。理由がわかるまでとことん考え、製品をブラッシュアップさせていく姿勢は、子供への叱りかたと共通していました。
 そんな浜西さんが製品企画で一番大事にしていることが「ファミリー」。家族で喜べるもの。なるべく子供でも使用できるものを目指しています。そんな浜西さんにとって家族とのキャンプは製品企画においても、とても大切な時間になっているようです。
雨の中、屋外で生活をしていると「自然」を身近に感じます。まるで木々が雨を喜んでいるかのように、艶やかで、色が濃くなる。川ははしゃぐように流れが速くなり、土は食事をしたかのようにふっくらとした絨毯のように膨らむ。森全体が生き生きとしているように思えるほど表情が変わっていきました。その空間の中で生活することは贅沢だと捉えることもできる、そう思えるほどでした。
 どんな環境でも受け入れてEnjoyする浜西家の姿勢を知らなければ、僕は今回のキャンプが辛いほうの「やばい」で終わっていたことでしょう。本当に参加できてよかったと心から思っています。ただ、次回のキャンプはどうか晴れますように! だって、過去数度の撮影のうち、青空を見たのなんて最初の1回ぐらいしかないんですから。もしかして、僕が雨男なのか? いや、そんなことはないはずです。そうじゃないことを証明するためにも、次回は絶対に快晴がいいんです! まぁ、雨だったら雨で、楽しむ術を浜西家から教わっているので、笑っていられる予感満載な自分の変化がちょっと怖いです。


03SPECIAL MOVIE

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