02石川さんと佐野さん
陶芸の街として知られる栃木県益子町へ。陶芸家の石川若彦さんを訪ねました。
土練機で軽く練った土を、全身を使って練り上げる。「冬は土が冷たいから、手が赤ぎれになるよ」と石川さん。
土殺しと呼ばれる、土を縦に伸ばして縮めて芯を通してから、ろくろをまわします。
働く男は笑顔も美しい。作業中は、ボブ・ディランやレディ・ガガ、レッチリなどを愛聴するとか。
石川さんは、「俺が俺が」の作品ではなく、料理などの食材が盛られて調和する器を目指している。引き算の美学?
窯にはパワーのあるブタンガスを使用。素焼き時には780℃、本焼き時にはなんと1270℃!
作業場に隣接されたアトリエ内の器たち。ひとつひとつ表情が違う。ちなみに、この建物も石川さんの手作り。
続いての旅は、賢者の瞳を持つ生き物にまつわる場所へ。社団法人東京乗馬倶楽部の佐野さんを訪ねました。
乗馬インストラクターの佐野さんの仕事はレッスンだけではありません。馬房の掃除も大切な仕事。
頭から肢の先まで。全身毛皮である馬の血液循環をうながすためにブラッシングで入念に手入れ。
「冬は馬場が凍ってしまうので、鉄を履いた馬は肢を痛めやすくなってしまって」と、自身の寒さよりも馬の心配を。
谷村さん(馬の名前です!)は、ニンジンが大好物。「噛まれた経験ですか? ありますよ。容赦なしです(笑)」。
海外留学経験のある彼女は、時折、英語で馬に話しかけてしまうのだとか。「でも、不思議と通じるんです」。
03平安山さんと浅岡さん
都内でバイクショップ「GREATSTAR」オーナーの平安山さんは、子どもの頃から壊れたラジカセを分解するなど機械いじりが大好き。
たとえば20年走り倒したバイクでお役御免となったものでも、そのパーツは使えるものがあったりする。
自らの愛車の電気系統をチェック。「バイクは全部好きですけど、とくにオフロード車が大好きです」。
バイク関連の仕事では、1年に1回使うかどうかの工具も購入せねばならず、「工具負け」することも多し。
1973年型のハーレー・ダヴィッドソン。通称、アイアンと呼ばれるこのバイクは故障も多いがファンも多い。
細かい作業時はTシャツが楽だとか。LOGOSにサロペットタイプがあると知ると「今度はそれを試着したいです!」。
グリーン・コーディネイターの浅岡みどりさんを訪ねて、関東近郊へ。お得意様の庭が今日の現場です。
冬場の仕事は、春に花を咲かせるための準備が中心。そのほかの冬ならではの仕事には、バラの剪定、誘引などがある。
「かわいすぎず、きれいで、他とは違うもの」という発注に、彼女が選んだのは、スカビオサ、ペンテッドセージなどだった。
子どもたちに園芸を教えている彼女。植えたいものを尋ねると、女の子は「お花!」で男の子は「野菜!」と答えるとか。
こちらが、彼女が絶賛してくれた「二重袖」。袖口から風が入ってこないため手首が冷えません。
冬の仕事は時間との戦い。日没までに土壌改良をし、デザイン(色の組合わせ、花の大小など)を考えながら草花を植えていく。
チューリップの球根は、色の組み合わせを考え、アットランダムに植える。偶然を良しとする手法で、デザインは春までのお楽しみ。
足元には「レッグウォーマー・チコリ」が。「足元から冷えてくるので、コレは本当に嬉しい!」と浅岡さん。
04永吉さんと尾崎さん
旅は続きます。岐阜県郡上八幡へ。数日前の雪が残っていましたが、不思議と東京よりも寒くありません。
若き猟師、永吉剛さんの狩りの現場に同行。永吉さんは里山保全グループ「猪鹿庁」のメンバーでもある。
動物の足跡を見つけた永吉さん。わな猟の資格も有する彼は、地元の神戸から郡上八幡へと移住してきた。
鹿の足跡。「足跡には、新しいか古いか、歩行パターンはなど猟に必要な情報が詰まっています」。
単独行はまれ。2人から10人ほどで行なわれる巻狩り猟(勢子役が動物を追い込んで立つ間役が仕留める)が基本。
猟銃は師匠の仲間から譲り受けた。「移住してきた時は、まさか自分が猟師になるとは思ってもいませんでした」。
猿が農作物を荒らしているようで「猿、撃っとくれ。手ぐせ悪いで」と農家の方からお願いが。
永吉さんの先輩猟師が作ってくれた、とん汁ならぬ、「猪汁」。さすがに冷えきった体にありがたい温もり。
静岡県の大瀬崎へ。旅の最後は、日本を代表する水中写真家・中村征夫氏に11年間師事していた尾﨑さん。
夏場のダイビングはウェットスーツですが、冬の寒い時期はドライスーツを着込んで潜ります。
彼女の商売道具。カメラ本体を支える外装部分をハウジングと呼ぶ。尾﨑さんの旦那さんは、ハウジング関係のお仕事。
海に潜る前の凛とした横顔。水中での撮影を仕事にするようになってからは、より慎重に装備のチェックを。
あいにくの雨が。周辺機器のチェックのため同行していた旦那さんと共に、この日、2本目となる撮影へ。
陸からは濁って灰色にすら見えた海の底には、力強い生物たちが! 頭も尾っぽも隠せていないお茶目な「ウツボ」。
こちらも、この日の海に咲くように息づいていた「ムラサキハナギンチャク」。命の躍動感が美しい。
水中の温度は、常人には耐え難い16度。陸にあがった尾﨑さんは、小刻みに震えていました。
「冬の海は夏よりも透明度が高いし冬にしか見られない魚もいて。だから、こんなに寒くても潜っちゃうんです(笑)」。