Autumn Camp 201Q

VOL.106

Autumn Camp 201Q

さて問題です。家族がテーマの「秋キャンプ」。恒例となりましたが、今回で何回目でしょうか? 正解はなんと8回目。今年の主役はおふたりともデザイナーの北田夫婦と娘さんの悠理ちゃん。北田家3人で越後妻有に行ってきました。悠理ちゃんの口癖は「なんで?」。好奇心旺盛でどんな些細なことにも「?」がつきもの。そんなQuestionだらけな「秋キャンプ201Q」の様子を、どうぞ。

撮影/関 暁  取材・文/竹内順平(BambooCut)

01つまりそこは、越後妻有

11月2日。東京
秋の祭典は11月
こんな都市伝説をご存知でしょうか? 「東京と新潟を結ぶ関越自動車道は田中角栄の自宅と実家を繋いだ道である」。ま、都市伝説ですけどね。そんな関越道沿いにある新潟県の「越後妻有」はご存知ですか? LOGOSの2020年NEWアイテムを用意しての紅葉キャンプは、「大地の芸術祭」の里であるこの場所をEnjoyしてきました。その様子を、どうぞ。

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02父と娘と隣に妻あり

21時。悠理ちゃ
新製品の「LOGOS
なんで人は秋になると紅葉を見たくなるのでしょうか? なんで人はわざわざ手間をかけてでもキャンプに行くのでしょうか? 家族とその時間をすごして、一緒に笑ったり、一緒に考えたり、時には寒がったり。同じ時間を家族ですごす。キャンプならではの特別な時間がその答えかもしれない。北田家を見ていて、そう感じたのでした。

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03

 今回の秋キャンプ、新潟には何度か訪れたことがありましたが、僕自身ははじめての越後妻有です。振り返ってみて思いますが、とにかく「気」がいい。まさかこんなに豊かな場所だとは思ってもいませんでした。
 初日、まず立ち寄ったのは越後妻有の近くにある六日町の道の駅「南魚沼 雪あかり」です。なかなか大きな道の駅で、並んでいる季節の野菜や 魚沼産のコシヒカリ、漬物や調味料などのお土産品など、とにかくその種類が豊富で、眺めているだけでも楽しめる場所でした。しかしながら、「そうは言っても田舎でしょ?」と思ってましたがとんでもない。約150台が入る駐車場はほぼ満車で、店内は人とすれ違うのに少し苦労するほどにぎわっていました。この瞬間、東京にいた時よりも、越後妻有という場所にワクワクしている自分がいたのでした。
 キャンプを楽しんだ「無印良品津南キャンプ場」は3連休ということもあり、たくさんのキャンパーが訪れていました。ちょうどイベントで「巨大鍋で作る飛騨牛鍋」というのを開催していたのですが、こちらも大行列。とにかく利用している人たちがなんだかとてもおだやかで、津南キャンプ場が愛されているのが、雰囲気としてとても感じられました。
 そして、グッドタイミングで行くことができた「大地の芸術祭」です。開催最終日にギリギリ間に合いました! そのなかの「うぶすなの家」という場所に行ったのですが、願入(がんにゅう)というまわりに4軒しか暮らしている住まいがない集落で、そのうちの1軒が2004年に中越地震で被災。その民家を2006年にリノベーションした作品です。「うぶすな」とは「産土」と書き、自分の生まれた土地やその土地に続く神様を意味するのだとか。
 「うぶすなの家」の入り口。そこには大きな竃がありまして、そのデザインがとてもかわいいんです。聞くと、ほかの囲炉裏や洗面台やお風呂なども含めて、それぞれを全国の日本を代表する陶芸作家さんが作られたとのこと。そして、その器を使って、地元のお母ちゃんたちが中心となって、コシヒカリや旬の野菜、山菜やきのこを使った料理をつくってくれます。そのお母ちゃんたちの生き生きとした姿。これが一番魅力的な作品なのではないかと思うほど、とっても土地としての「気」がよいところでした。


 2日目に行った「森の学校」キョロロでの里山の生き物探検は娘さんの悠理ちゃんが大活躍でした。案内してくださる富塚茂和さんに草木のことや虫のことなどを説明をしてもらいながら山の中に入って行くのですが、悠理ちゃんは360°全方向に触覚があるかのうように興味のアンテナを張り巡らし、気になったものすべてに「なんでこうなの?」と質問をぶつけます。それをひとつひとつ丁寧に答える富塚さんとの会話は、まるで教育番組で放送されていそうなほどおもしろかったです。
 たとえば、富塚さんが植物を触りながら「この植物を触るとかゆくなってしまいますので、触らないようにしてください」と注意をうながすと……。

悠理ちゃん「なんで先生はいま触ってるのにかゆくならないの?」
富塚さん「アレルギーには個人差があって、私は平気だったのです」
悠理ちゃん「じゃぁ、悠理も平気かもしれないよ?」
富塚さん「おっしゃる通り」
悠理ちゃん「じゃぁ、触ってみる!」
富塚さん「でも、かゆくなったらつらいので、今日はやめておきましょう」
悠理ちゃん「んー、わかった!」

 こんな感じのトークが約2時間ノンストップで続きます。聞いてるだけで幸せになるほど、平和な会話です。
 悠理ちゃんの好奇心や探究心に驚き、目がいくのですが、一緒に参加している北田さんご夫婦の「接し方」も注目でした。なぜなら、楽しんでいる娘さんとの距離感が絶妙なのです。
 夢中になっている娘さんを邪魔しないように。かといって放っておくわけでもなく。その「間」の取り方が絶妙にいいのです。
 あとでご夫婦に聞くと、子育てをしている意識はあまりなくて、「一緒に生活しているだけ」という意識なのだそうです。嫌なことはしないし、嫌なことはさせない。その絶妙なお子さんとの「間」の取り方が、誰かに「あれしろ」「これしろ」と言われたのではなく、自由に、しっかりと自分で考えて自分で生きるような、力強い子に育っているんだと感じました。


 舞台演出家の三谷幸喜さんが言っていたのですが、もしも海外にひとつだけ言葉を持って行くなら「What is this?」なのだそうです。「これはなんですか?」という言葉さえあれば、すべての言葉を知ることができる。すべてのコミュニケーションをはじめられる、と。
 まさに今回の悠理ちゃんは「?」の連続でしたが、お父さんも負けないぐらい「?」製造機です。
 実は僕はふだん梅干しのお仕事をしていまして、梅干しを使ってイベントや商品開発をしているのですが、デザインをお父さんの北田進吾さんに依頼し、ご一緒することがよくあります。そして、打ち合わせをするたびにとにかく「なんで?」と聞いてきます。なんなら、「そもそも梅干しってなんだろうね?」みたいな、「そこからですか!」とツッコミたくなるような質問をしてきます。親子は似るって言いますが、似すぎてて驚きました(笑)。でも、なぜ北田さんがそうしているかというと「なんで?」を解決するのがデザインであると考えているからだとか。
 道の駅でご夫婦がいいなと思うパッケージデザインの物を選んでもらいました。上の写真がそれらなのですが、すべてに共通することがあるそうです。それは、表面的に着飾ったデザインをするわけではなく、正直にデザインして、その物「らしさ」をしっかりと表現できていること。発売から長い時間培ってきた「これ、おいしいですよ!」とパッケージが言ってくれていると感じられるものなんだそうです。あくまでも「カッコイイ=格好良い」ではなく、「格好が良い」。つまり、姿が良い。なりが良い。おふたりもそれを意識しながら日頃のデザインをされているそうです。そんなご夫婦が一番気になったのは、まわりの包装紙に「カニ」が描かれている柿の種。サルカニ合戦をモチーフに描かれているのですが、一瞬「なんでカニ?」と思って気になっちゃうあたりが、とっても好きなデザインとのこと。
 やっぱり北田さんが意識するのは「なんで?」。ある日、悠理ちゃんがお父さんとお母さんに突然「たべものはココロを通るの?」という質問をしました。みなさんだったらなんて答えますか? 北田夫婦は「まず、ココロがどこにあるか考えようか?」と答えたそうです。
 この「不思議」に気づくことができなくなることが「大人になる」ということだったりするのかなと、悠理ちゃんを見て思ったのでした。そして同時に、キャンプはその「不思議」の感性を研ぎ澄ませてくれる遊びであるようにも思えました。大自然の中ですごす大切な時間は、五感が研ぎ澄まされ、当たり前じゃないことに気づかされるのかもしれません。
 食あり、アートあり、スポーツありと、「やりたいことは全部楽しんじゃえ!」という、まるで幕の内弁当のようだった今回の秋キャンプ企画。
 でも、一番の「収穫の秋」は悠理ちゃんの「?」だったのでした。


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