新人編集ひとり旅 ~令和狸合戦ぽんぽこ!~

VOL.105

新人編集ひとり旅 ~令和狸合戦ぽんぽこ!~

どうもです! 寂しがり屋の新人編集・竹内順平です。今年もひとり旅シリーズの季節がやってまいりました。昨年は豪雨のなか、読んで文字の如く「ひとりぼっち」なひとりキャンプを経験しました。思い返せば唯一友達になれたのはキツネさんだけ。彼のことを想うと懐かしくも愛おしくもなります。「今年はどんな友達に会おうかな…」。そこで! 今回はキツネではなくタヌキに会いたいと思い立ち、滋賀県の信楽を目指しました。はたして今年もひとりぼっちなのか? タヌキには会えたのか? そんなひとり旅の様子を、どうぞ!

撮影・取材・文/竹内順平(BambooCut)

01タヌキを探しに、チョイやっさっ!

信楽ICを降りる
「今年は絶対にひとりぼっちはいやだ!」。そう意気込み、7月にタヌキを探す旅に出かけた竹内。なんの手がかりもないまま、とにかく昔からひそかに大好きだったタヌキの「信楽焼」の聖地、滋賀県信楽市を目指しました。そこはタヌキのパラダイス。興奮と寂しさが入り混じるチョイやっさっ!な1日でした。

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02押忍!おら、忍者に成るの巻

せっかく信楽まで来たのだから、隣りの甲賀で忍者になりたい! そう思ってしまったら即行動。忍々! 屁理屈を言えば、タヌキも頭に葉っぱを乗せて化けるじゃないですか。だから僕も忍術を覚えて化けたらタヌキに会えるかな、なんて。…嘘です。忍者の格好をしてみたかったんです(笑)。竹内が忍者へと成長する2日目の様子を、どうぞ!

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03

 昨年、「ひとりキャンパー」としてデビューした新人編集の竹内です。前回は孤独をEnjoyしようと挑んだ岐阜キャンプでしたが、豪雨に見舞われ、キャンプ場には僕だけがポツン。最終的にその淋しさをまぎらわせてくれたのは野生のキツネだけでした。
 ということで、今年はタヌキ。実はワタクシ、大のタヌキの焼き物好きでして、あの愛くるしい顔とフォルムを見ていると、癒されてしかたがないのです。けれど、野生のタヌキにご挨拶したことがありません。ソロキャンプ=自然とふれあうということ。ならば生涯初のタヌキチャンスです。大雨だった昨年は梅雨真っ最中の6月だったという反省をいかし、今年は7月中旬に予定を組みました。これでなんの気兼ねもなくタヌキに会えるってもんです。
 7月某日10時21分。草津駅に着いた僕はボソッとつぶやきました。「またかよ」。そうです。大雨です。脳みその中には昨年の悪夢がよみがえります。
気を取り直しクルマを借りて、駅近のロゴスショップへ。迎えてくれたのは店長の國富さん。おちゃめな関西弁の男性です。
テントの建て方を教えていただきつつ「タヌキに会いたい」という旅の目的を伝えると「キャンプ場のある所は猿も出たりしますしタヌキもいるんちゃいます?」と、なかなか希望の持てるご返答。期待を胸に、いざ、旅のはじまりです。
 クルマで走ること約1時間。まずは「信楽陶苑たぬき村」へ。タヌサー(たぬき焼き物愛好家)としては絶対見逃せない神スポットです。僕は信楽焼体験をすることにしました。タヌキの型に板状の粘土を押し当てていく「押し型成型」と呼ばれるもので、わりと簡単に誰でも楽しめます。信楽焼のタヌキには八つのゲン担ぎがありまして、女性スタッフの日下さんが丁寧に意味を教えてくれました。「笠・目・頬・腹・通・徳利・尾」そして「金袋」。僕が「なるほど、金袋」とメモしながら復唱すると、間髪入れずに「金玉のことですけどね」と、まるで人工知能と話しているかのような冷静な口調が印象的でした。
 さてさて、現段階の手がかりは「キャンプ場の近くにいるんちゃいます?」。これだけ。そして、忘れてはいけないのは、外が大雨。状況としては最悪です。それでも、たったひとつの手がかりを信じて「かもしかオートキャンプ場」へと向かいます。
道中も頭の中はタヌキでいっぱい。あの名作『平成狸合戦ぽんぽこ』のことまでも考え出してしまっていたその時! 突然! 1匹の黒い生き物が道を横切りました! タ…ヌ…キ…っぽい? クルマからの視界は大雨のためハッキリと認識するのは不可能。まるで名探偵コナンに出てくる犯人の黒い影ぐらい特定できません。でも、あのフォルムは限りなくタヌキっぽい。しかし、確証はなし。だってコナンの黒い影なんだもん。僕はモヤモヤしながら、キャンプ場へとクルマを走らせました。


「どえらい日を選びましたね。まわりのお客様は、全員キャンセルです」
 受付の方の言葉に、広いキャンプ場を見まわしてみると、もれなく僕だけがポツン。「タイムスリップかよ」。僕はつぶやきました。
大雨のなか、テントとタープを建てたために、体はびちょびちょ。心はこりごり。もう金輪際濡れるのは御免です。来年は晴れますようにと願いながら、体力を完全に使い切った僕は就寝しました。
 ところが翌日。ほぼ降っていないとさえ言える状態の小雨。これならがんばれる。というわけで忍者です。「甲賀の里忍術村」へ。はい。タヌキは関係ありません。僕の趣味です。
 忍術村では九つの試練「臨兵闘者皆陣烈煎リンピョウトウシャカイジンレツザイゼン」を乗り越え、伊賀流忍術免許皆伝をもらうことができます。石垣上りや、塀越え、井戸抜けなど、なかなか本格的なものばかり。しかし、僕も小学校から高校までの12年間、野球をやっていた体育会系男子です。悪くはない成績でクリアしていきましたが、案内人ならぬ案内忍の福永さんが僕に問います。「最後のひとつ、本当にやられますか?」。僕にはその問いの意味がまったくわからず、元気よく「もちろん!」と答えました。
「では」。そう言って案内されたのは池。控えめに言っても汚い池。そこに2つの輪っかが浮かんでいます。輪っかの中心には紐で繋がれた板が。「まさか?」「はい。この輪っかに乗っていただき、池を渡ってください」。もう引くことはできません。決心し、足を片方ずつ輪っかの板に乗せました。
まずみなさんに申し上げたいのは、板に足を乗せた時点でスネのあたりまでは浸水してしまうという事実です。その時点で僕のなかでは「マジかよ」なのです。そして、バランスをとりながら前に進みます。いえ、進んでいるつもりになっているだけで進んではいません。僕は思い切って全身を使い先に進もうとしますが、輪っかが先に進む進む。僕は上半身も追いつかねばと必死に食らいつく。しかし、上半身が先に進もうとすればするほど輪っかは先に進むのです。意味わかります? 
 まぁ、この先の展開はわかりますよね。最後はドボン。池の中にきれいに落下しました。
全身ずぶ濡れです。せっかく小雨になったっていうのに、なぜ今日も濡れてるんだ。池の中で僕は泣きそうでした。もちろん替えのパンツなんて持ってきておらず、その日はノーパンですごすハメに。小学生以来のノーパンDayです。
 それでもなぜか案内忍は合格をくれて、見事に僕は甲賀流の忍者になれたのです。昨日までのふつうの自分よりも、忍者になったせいか、タヌキに会える気がしてきました。


 キャンプ場への帰り際、タヌキを探すために青土ダムに寄るなどしましたが、一向にタヌキを見つけることはできず、忍者の効力が発揮されることもありませんでした。泣く泣くテントに戻ると、ひとつの幸運が! 小雨になったことで、なんとまわりにキャンパーが3組も来ていたのでした。いいなぁ、キャンプ場にひとりじゃないって(感涙)。さらにさらに、そのなかになんと、ロゴサーもいたのです(爆涙)。
さっそくお話しを聞きました。
「実は、キャンプ初心者なんです。ずっとやってみたいとは思っていたから、今年のお正月にロゴスの福袋を思いきって買っちゃいまして。それがきっかけで、今日が人生2回目のキャンプ。年に5回行くことを目標に楽しんでいます」
 素敵な笑顔で語ってくれたその家族は、ゆっくりされていくのかと思いきや、翌日の朝すぐに帰ってしまいました。まるで、僕に会うためだけの束の間の逢瀬。もしかして、あの家族こそがタヌキたちだったのかもしれません(笑)。
 翌日。僕も片付けを済ませ、今回の旅を振り返りながら、家路につきました。豪雨、孤独、池ポチャ。でも、最後の最後にロゴサーに会えるだなんて。関係ないのかもしれませんが、忍者になってよかったです! なにより、人に会えるだけでこんなにひとり旅がたのしくなるなんて、人の力は偉大だと心の底から感じられたことがうれしかったです。
 さて、次回のひとり旅は、どんな動物に会いに行こうかな。


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