home > 月刊LOGOS > vol.90 FUJI ROCK FESTIVAL '18
月刊LOGOS
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今年も来ましたフジロック! 22回目の開催、月刊LOGOSとしては6回目のフジロックです。年々ファミリーとアジア勢が増えていっているなぁとか、年齢層が全体的にあがってきているなぁとか、6年連続で来ていることで変遷的なものもちょっと見えるようになったりして。一方で、お父さんやお母さんにくっついてきていた中学生が高校生になって、自分の意志で参戦するようになっていたり。ますます幅広く、多彩になっていくフジロックの様子をたっぷりお届けします。
撮影/三浦太輔(go relax E more) 取材・文/安部しのぶ

みんなドキドキしていたことでしょう。なにせ「本日午前3時に台風12号が発生しました。今後の台風情報にご注意ください」とフジロックの公式HPが呼びかけたのが前夜祭前日の7月25日。はたして無事開催できるのか? 心配と興奮が入り交じるなか、ゲートオープンです。

7月26日正午。キャンプサイトのオープンとともにみんなダッシュ! それぞれお気に入りの場所に一目散。

キャンプサイトの入り口に近いところは一番人気が高く、あっという間に埋まっていきます。熾烈な場所取り合戦。

今年最初に会ったロゴサーは茨城&東京&埼玉から来た米(よね)ROCKのみなさん。LOGOS製品があちこちに!

空のLOGOSキャリーをひいていた柴田兄弟は、三重県から。お父さんとお母さんのところに荷物を取りにいく最中だそうです。

テントを建てるお父さんを手伝う女の子。その手際から、かなりキャンプ慣れしていることが伺えます。あれれ? どこかで会った気が…。

先日GOOUTでお会いした吉田ファミリーじゃありませんか! 今日は晴れてよかったですね。せっかくなのでGOOUTと同じ並びで一枚!

「奥さんとそろそろ子供をという話になったので、最後にひとりで来ました」とおディーンさん。LOGOSのエアマットを敷いて準備完了!

Tシャツが素敵なけいさんはティピーをセレクト。「買うなら三角のやつだろうと思って、これにしました。あと、黄色が好きなので」。

テント合戦は1時間ほどでひと段落。雨どころか、めちゃくちゃ晴れててよかった。夜の前夜祭に向けてガソリン注入タイム。

で、前夜祭です! 毎年大勢の人だかりができる炎の大道芸。何度見ても見入ってしまいます。

気さくに話しかけてくれたのは今年で13回目だという筋金入りフジロッカーのガチャピンさん。「6時間かけたネイル、見て見て!」。

なにこれすごい。ボブ・ディランにフジの名物キャラ“ゴンちゃん”に、キヨシロー作のうさぎまで! みっちみちのフジロック愛。

「やっぱフジは濃い人多いね」なんて話してたら、さらに濃い人が。カメラマン三浦さんのお師匠&お友達の児玉さん。前夜祭でこの千鳥足。

本番1日目です。こちら入社3ヶ月のLOGOS新人、西條さん。レンタルテントを運営するLOGOSは今年120のテントを張ったのですが…。

「軍手が必要でしたね…」と笑う彼女の手には大きな水ぶくれが! 120張のうち、インナーテント30張が彼女の仕事でした。おつかれさま!

LOGOSのキャリーを引いていたロゴサーの片田さん。「ふた家族で使ってます。取っ手がもう少し長くなるとうれしいですね!」。

誰もいない、ゴミひとつ落ちてない、開場10分前の「GREEN STAGE」。今年はここでどんな景色が見られるのでしょう? 

キッズのリストバンドがずらり。子供の頃からフジロックを経験できる人生、いいな〜。天気は今日も持ちそう…かな?

朝9時、開場。出ました! 毎年恒例のフジロック福男(勝手に命名)。「GREEN STAGE」で目当ての場所を確保するべく男たちが走る!

走る男たちの中に、昨年初日1位だった福男を見つけました。ユーキンさん(左)。MRCフェス部のみなさんと今年も一緒に。

「昨年3日間走ったんですけど、最終日派手に転んで。傷なんてレベルじゃなく肉が削げて。なので今年はゆっくり走りました(笑)」。

リストバンドが手首にもりもりのフェス手練、越後忍者さん(25歳)。「朝イチのライブでiPhoneなくしちゃって…」と焦るなかポーズ。

“空気だけで建つ最新テント「エアマジック ドーム M-AH」を何秒で建てられるかゲーム”が開催! あおいちゃん(6歳)は1分7秒!

平均組立て時間は約90秒なのですが、お姉ちゃんのみやこちゃん(8歳)はなんと41秒。ひとりでよくできました!

涼を求めて人がわんさかと。行ったことはないですが、ガンジス川ってこんな感じなのかな〜、とか思ったり。

あまり見かけない、山吹色のLOGOSチェアを発見! 三姉妹の長女と次女で参戦したいっちー姉妹。「フジロックによく持ってきてます」。

スラックライン。真剣です。大人も挑戦してはみるけれど、キッズのほうがうまく渡れるのはなんででしょうね?

太陽光など自然のエネルギーですべての電力を供給しているステージ「Gypsy Avalon」のまわりは、天国のような木漏れ日が差し込んで。

昭和なヘッドホン姿で颯爽と歩く姿にめちゃくちゃ目を引かれました。定塚玲於くん。マイケル・ジャクソンと尾崎豊が大好きな16歳。

「今年1月に尾崎豊を知って、ものすごい衝撃を受けて。3日後にお墓参りに行きました」。このファッションも、もちろん尾崎リスペクト。

2018年マイベストフード、バインミー! フランス統治時代にうまれたベトナムのサンドイッチは、アジアと西洋のいいとこどりな味。

7075トレックチェア(背付)」を愛用の舘内ファミリーは、金沢から初参戦。「運びやすいので釣りにも使ってます」とお父さん。

大北さん夫妻に今年も会えました。3年連続です。うれしい! 歩き回ってグッタリきてた体が癒やされました。今年も記念に1枚パチリ。

エレファントカシマシのライブ中、びっくりするくらいの夕焼けが。からのラスト曲「今宵の月のように」。涙が出ちゃいます。

すっかり夜になりました。今年のアウトドア・シアターは「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。み、見たい! 

深夜は英国の「グラストンベリー・フェスティバル」から今年限りでやってきたアトラクションへ。日本のフェスにはない禍々しさが最高。

アトラクションの名前は「UNFAIRGROUND」。「グラスト」が今年休止だったために、移管が実現したそう。ピエロも怪しくてかわいい。

一心不乱に踊る外国人の彼はうれしいことに、ロゴサーでした。腰についている「ナバホボトルホルダー」がその証拠。

深夜1時半に女の子? …と思ったら、いままさにDJをしているGOTH-TRADさんの愛娘さんでした。踊る踊る!

琥子ちゃん(8歳)はたっぷり昼寝したから元気いっぱい! 「家でかけてて知ってる曲ばかりで、うれしいみたいです」と母・小春さん。

ダンスは朝まで続きます。今日のラストは石野卓球でシメ。昼と夜で別人みたいになるフジロック、好きだなー。

結局、台風は会場には直撃しなかったものの(ホッ)、通り過ぎただけでもそのパワーは強大でした。大雨のなかでのライブ、ダメージを受けるキャンプサイト。自然の猛威に驚きつつ、そんななかでも笑顔でいるフジロッカーたちの逞しさにもまた、衝撃を受けたのでした。

2日目は曇りでスタート。おむつ一丁の妹をおぶる姉。朝からキュートなふたりが見られていい1日になりそうです!

福岡から来た井上さん。「バード系ブランドのレインブーツはよく見かけるので(笑)、LOGOSにしました。色はあえての赤で!」。

ゲートまで続く長い道。歩いてるとワクワクしますね。今日もいい1日になるといいな〜。

陽が出たり曇ったり安定しない天気なので、いまのうちに防水対策しちゃいましょう。「レインウエア専用防水スプレー」をシュー。

20周年で配布された忌野清志郎さんのゴミ袋。2年前のものを大事にとっておいてここぞという日に使うロック精神にシビレル。

マリオブラザーのおふたり(あくまで“マリオブラザーズ”ではないと主張)は会社の同僚でアラフォー。「腰にくるので」と杖を持参(笑)。

The Birthdayのライブがスタート@「GREEN STAGE」。音にのるお父さんと、爆音のなか爆睡する娘。

The Birthdayのライブで見かけた鈴木美野くん、15歳。「好きなのはストーンズ、ビートルズとか。次はジョニー・マーを見ます」。渋い!

うしろ姿がまたすごい。好きなアーティスト名を自分でペイントしたそうです。一番好きなのはドラマーの中村達也さん。

マキシマム ザ 母子。お母さんの影響で小林瑠心くん(11歳 )もすっかり“腹ペコ”(=ホルモンファン)に。「『F』って曲が好き!」。

中国の成都から来た17歳のzeusちゃん。「マキシマム ザ ホルモン好きよ。なにを言ってるかはわからないけど」。

まだまだ雨は降りません。でも雨を心配してチェアにビニールをかけている人もちらほら。

突然はじまった子供デモ。「木と森をふやせ」「ゲームのじかんをふやせ」などなど、たくさんの主張が飛び交います。

ゲーム会社に務める姉と、美大生の妹。ニコイチみたいな空気感がソーキュートな新垣姉妹。「これからD.A.N.を見ます!」。

昨夜の「UNFAIRGROUND」、昼間はこんな感じ。明るいところで見てもやっぱりパンチ効いてますね。

土ぼこりとスモークが舞うなか踊りまくる。写真を見てるだけでも咳き込みそうです。まだまだ、雨は降ってきません。

いろいろなフェスに行くというあやみさんとさおりさん。ふたりでよく話している話題は「金とイケメン!」とのことです。強い。

ついに雨がぱらついてきました。てるてる坊主な4人組は台湾より来訪。「このポンチョいいでしょ? 台北のIKEAで買ったの!」。

雨、強まりました。よりによってフジロッカーが大好きなミクスチャーバンドFISHBONEのライブ前に。これはすごいことになりそう。

今年のライブは穏やかだなーなんて思っていたけれど、ここに来てついにスパーク! これ以上前には行けません。

雨がジャージャーになったところでライブ終了。見てください、この興奮状態を。咆哮が響いています。

家族…じゃありません。母子と、FISHBONE熱が冷めやらない男性です。この男の子も将来いいライブキッズになりそうだな〜。

アゲアゲな土曜の夜、トリはケンドリック・ラマーです。ゴミステーションのスタッフさんもこんな状態。

帰り道でLOGOSの新作ポンチョを着ているロゴサーを発見! 愛知から来たえりかさん。「同じポンチョ、今日4人くらい見ましたよ!」。

最終日です。深夜、FISHBONEどころじゃない嵐がキャンプサイトを襲ったようで、朝イチで様子を見に行きました。 

ああ! やられてしまっている……。風が相当すごかったみたいです。「足の裏で天井を抑えて倒壊を阻止しながら寝た」という人も。

いたるところにこんなテントが。ひとつひとつに命があるような気がして、切ない気持ちになります。

LOGOSの旧式テント、なんとか持ちこたえてる! 偉いぞ! 奥にあるナバホのテントも無事のようです。

建て直すのをあきらめ、倒れたテントのまま生活をすることを選んだ人たちも。「このなかに、友達があと2人入ってます(笑)」。

GOOUT JAMBOREEとフジロック初日に会った吉田家も無事でした! 長女の芽生ちゃん、せっせとお手伝いしていて本当に偉い。

わー! また降ってきました。体に百裂拳を食らっているかのような強い雨。どこにも移動できません。

防水対策の効果がめちゃくちゃ発揮されてました! ばっちり弾いてくれていますね。備えあれば憂いなし。

大塚元喜くん、18歳。雨のなか上下デニムにコンバースという出で立ちに強い信念を感じます。もちろんボブ・ディランを見に。

今年最大のトピックスは、大トリのボブ・ディラン。ディランとほかのアーティストをかぶらせないタイムテーブルにもそれは表れていて。

ユニコーン開始前の最前列にて。みなさんとなつさん。ユニコーンや斉藤和義が好きなお母さんに影響され、娘さんも聴くようになったそう。

どうやら台風は去ったようです。ようやく晴れ間が覗いてきました(ゴミはゴミ箱にね!)。

「写真? ごめんなさいNGなんで!」なんて大人びたジョークを言う5人組は中学の同級生。現在高1。男女で仲良しっていいなー。

5人を引率していたのは畑俊行さん。太陽バンドの名でフジロックの出演経験もあるミュージシャンです。「今日は飲めません(笑)」。

雨でテントが倒れたりとかは嫌ですが、こんな景色は雨上がりじゃないと見れないんですよね。めちゃくちゃきれい。

お母さんの「コラー!」という声も虚しく、じゃぶじゃぶと入ってしまわれました。まぁ、やりたくなっちゃうよね。

ちょっとずつ寂しさが募る、最終日の夕方です。思い出に顔でもハメてみましょうか。

完全に晴れました。晴れのち雨のち暴風のち晴れ、という3日間。今年も濃厚な時間だったな〜。

大トリ、ボブ・ディランに備えてのトイレ大渋滞。ここまで混雑しているのは初めて見たかもしれません。ボブのライブもよかった!

ディラン最高でした! …で終わりたかったのですが、続き。最終日翌朝のキャンプサイト。ゴミが散乱しております。

テントが建った状態でそのまま捨てられていたり…なかなかの光景。楽しい思い出を持って帰りたいなら、ゴミも持って帰らなきゃですね。

5年間、ここの掃除をしている藤倉さんと稲垣さん。愚痴もなく「晴れて終わってよかった」と笑顔のふたりに癒やされ、今年のフジは終了!

取材後記
2018年ロックンロールの旅
2018年ロックンロールの旅  今年のフジロックは、変化を感じた年だった。
 前夜祭に出たMO'SOME TONEBENDERがMCで21周年だと語っていたり、初日1発目のライブだったMONGOL800も20周年だと言っていたり。大ヒットした『小さな恋のうた』も17年前だと聞いて驚いた。その月日を感じさせるかのごとく、ボーカルのキヨサクの恰幅もめちゃくちゃよくなっていてびっくりした。私の記憶の中ではフレッシュなロック兄さんで止まっていたから、その貫禄に一瞬、別の人が立っているのかと思ったほどだ。The Birthdayのチバユウスケとユニコーンの奥田民生は、あご髭が白くなっていた。ライブ中、「苗場20周年。20年前(の自分)は20歳…? いや、30か」なんてチバユウスケがボソッとつぶやいていたりもして、なんだか今年は、いたるところで年齢というものを意識させられる。
 今回の私的なベストアクトは、はじめて見たエレファントカシマシだった。スタイリッシュに着込んだスーツとネクタイをどんどん乱しながら右に左に暴れる宮本浩次の「死ね! 死ね! なに笑ってんだ。なに頷いてんだ。なに踊ってんだ」というアオリにしびれまくった。ハスキーな声が後半に向けてどんどんパワフルに、伸びやかになっていく。最近やさしい音楽しか聴いていなかったので、ステージ上から罵倒されたのが痛快で、一気にファンになってしまった。そんな年齢をまったく感じさせないパフォーマンスをしたエレカシも、30周年を迎えたという。
 フジロックに来るお客さんの年齢層は、当たり前かもしれないけれど、年々あがってきている。30〜40代が多くなって、ファミリーが増えて、キッズエリアも増設されてすごく豪華になった。逆に尖りまくったロックなお客さんは、昔と比べたらだいぶ少なくなったと感じる。そんなことを書いている自分自身も30代後半で、もうすぐフジロック歴20年になるわけで、お客さんもアーティストも、フジロックのなにもかも、変化していかないほうがきっとおかしいのだ。
 でも、だからこそ、会場内で目を引かれたのは少数派の若者たちの姿だった。フジロックをまっすぐに楽しむティーンエージャー。家族と一緒に来ていたとしても、連れてこられたわけじゃなく、ちゃんと自分の意志でやってきた少年少女たち。とくに印象に残ったのは、こんな3人の青年だった。
未来を感じさせる
次世代のフジロッカーたち
未来を感じさせる<BR>
次世代のフジロッカーたち  音漏れ必至の小さなイヤーパッドがついた昭和なヘッドホンに、手にはSONY製のカセットウォークマン。いまの時代から見ればおもちゃ感があるそれらを携えて、Tシャツをジーンズにインして颯爽と歩いていた男の子がいた。80年代から飛び出てきたような彼は定塚玲於くん、16歳。「十七歳の地図」と書かれたカセットテープを持っている。だれが見たって完全なる尾崎豊フリークだ。
「SONYのウォークマン、めちゃくちゃ高かったんですよ。46,000円もして。でも、どうしてもほしかったからバイトしまくってヤフオクで落札しました。もうクタクタでしたよ。体育以外の授業はずっと寝てる、みたいな(笑)。尾崎は今年の1月にお父さんの友達が教えてくれたんですけど、聴いた瞬間ものすごい衝撃を受けて」。なんとあまりの感動に、出会った3日後にお墓参りに行ったのだとか。どんなところが響いたの? と聞くと、「全部。夢とか愛とか自由とか、生きてく上で一番大事なことが歌の中に全部詰まってる気がした」。弾けるような笑顔で語る。情熱と行動が直結していて、見ていて気持ちがいい。「いま着てるのももちろん、尾崎ファッションです。Tシャツにジーンズ。Ray-Banも欠かせません。いつもこの姿だから、親には心配されてますけど(笑)」。
 一方、90年代のロックスターに魅せられている少年もいた。The Birthdayのライブ中に見つけた鈴木美野くん、15歳。3000円で購入したというつなぎの背中いっぱいに、浅井健一やThe Birthdayなどのロゴをアクリル絵の具でペイントしている。それらのバンドは(もちろんファンの年齢層は広いだろうけれど、主に)30〜40代に支持されているアーティストで、15歳はたぶん、かなりめずらしい。美野くんが一番好きなのは元BLANKEY JET CITYのドラマー、中村達也。キッカケは「父親が知り合いから借りてきたCDが中村達也さんがやっているLOSALIOSの1stアルバムで、クルマの中でたまたま聴いて。言葉では言い表せないかっこよさがあった」。その影響でドラムを始めたけれど、ひとりで叩いているらしい。若手のバンドをまったく聴かないので、クラスメイトとは音楽の話があわないのだという。でも、彼から孤独感を感じるかというと、まったくない。「フジロック特集内に『バンドメンバー募集』って一言書いておく?」 と聞いても 「大丈夫です。いつかまわりにそういう人が表れたらで」と断られた。中に着た自作のTシャツもTHE GOLDEN WET FINGERS(チバユウスケ、中村達也らによるバンド)のもので、つなぎの胸元をぐいっと開いて見せてくれる。“好き”を静かに突き進む人は、年齢問わず強い。
 そして3人目。雨が降りしきるなか、Gジャンにベルボトム、コンバースという出で立ちで会場を歩いていた大塚元喜くん、18歳。 彼が誰を好きなのかも、その見た目ですぐわかった。今年のフジロックの大トリを務めるボブ・ディラン。彼のインタビューは一筋縄ではいかなかった。「ディランの一番好きな曲は?」「難しいですね」、「好きな映画は?」「いろいろ」、「夢はなに?」「よくわかんないです」。なびかない、表情もほとんど変わらない。そんな彼を見ていたらふと、ボブ・ディラン自身を思い出した。そうだ、あの人も一筋縄ではいかない人だった。ライブを音源通りに演らないし、ノーベル賞授賞式も欠席するくらいだし。そもそもディランが歯を見せて笑った顔を見たことがない。そんな彼のファンである大塚くんがもし、ふるまいすべてを捧げていたのだとしたら……? そう思うと、なんとキュートな青年だろうか。本当のところはわからないけれど、彼が醸し出す空気感にディランへの深い愛情を感じたのは間違いない。
 若い頃からブレずに、強すぎるくらいのこだわりをもって、自分だけの尺度で音楽を楽しんでいる彼らは、とてもまぶしかった。そして、ロックは時代を越えていくという3つのたしかな証明を目にして、ちょっと興奮した。音楽の飛距離の果てしなさ。いまから100年後の若者が、尾崎豊を聴いたらどう思うだろう。ちょっと先の話でもいい。3人が家族を持つ頃に、フジロックに流れる音楽はどうなっているのだろうか。若きフジロッカーの芽吹きは、いろいろな未来を想像させてくれた。
ロックな人が減って
ゴミが増える
ロックな人が減って<BR>
ゴミが増える  そんな今年のフジロックの変化について、もうひとつ触れておきたいことがある。
 今回、ライブ合間のステージのモニターにはよく、「OSAHO(お作法)」と題したマナー啓蒙のムービーが映し出されていた。ゴミの分別、たばこの分煙、チェアの放置NGなど。フジロックはそういうことを日本で一番、お客さんの自主性にゆだねてきたフェスだったから、そんな映像が流れたことに少し驚いた。けれどそれだけ、マナーがひどくなってきているのだという。とくにゴミ。「世界一クリーンなフェス」が変わってきているのだ。
 実際の目で確かめようと、最終日の翌朝、はじめて終演後のキャンプサイトに行ってみた。
 ゴミが、ありすぎるほどあった。そのまま打ち捨てられたポンチョとか、フライパンなどの調理器具とか、ミラーボールとか。台風の影響でひしゃげて使えなくなったテントだけじゃなく、なんのダメージも受けていないテントが建ったままで捨ててある。
 なんで、こんなにたくさんゴミが捨てられるようになったんだろう。
 いまよりも昔のほうがゴミが少なかったのだとすると、前はみんなもっと軽装だったから、というのは理由のひとつとしてあるのかもしれない。アウトドアアイテムの数もそれを使いこなす知識も、いまよりうんと少なかった。15年前は、手ぶらの人だってたくさんいた。Tシャツにジーンズにスニーカー、雨がふったらそのまま濡れるか、ポケットに突っ込んでいたゴミ袋を引っ張り出して頭からかぶる、みたいなフジロッカー。いまは、かゆいところに手が届くアウトドアアイテムがたくさんあって、便利だし快適だから、できるだけいろいろ持っていくようになったのだろう。いまと昔でどちらのスタイルがいいか、なんて話じゃなく、持っていくものが増えたならばその分、捨てることに対しても気をつけなきゃいけない。それだけのことだと思う。ロックな人たちが減った分だけゴミが増えてしまったなんて、ロックフェスとしてそんな皮肉なことはないのだから。
 キャンプサイトを歩いていたら、ゴミを移動させているスタッフさんに会った。「今そこで、ミラーボールを拾いました。もったいないから、今年の思い出に持って帰ります」。稲垣彩野さんと藤倉思草さんは 2013年から5年間連続で終演後のキャンプサイトを片付けているという。「今年のキャンプサイトのゴミですか? 晴れて終わったのでまだマシなほうです。2013年の大雨のあとなんて、あまりにいろいろ残っていて絶望しましたから(笑)。でも拾っていく作業は正直、いつも大変です。収集車が来る歩道沿いにすべてのゴミを集めていくんですけど、上のほうから手で拾いながら下りていくのでどんどん両手がいっぱいになってきちゃって、重くて」。辞めたくならないですか? と聞いてみると「一瞬『もうつらい! 次はお客さんとして来たい!』なんて思うんですけど、気づけば翌年もスタッフで参加しちゃってて。2013年に出会ったメンバーがいまでも仲良しで、またこの場所に戻ってきちゃうんですよね」と笑いながら話してくれた。
 ちょっと真面目なシメになってしまうけれど、彼女たちと同じく2013年から5年間連続で月刊LOGOSのフジロック特集を担当している身として、この場所の変化に加担している身として、ゴミにまつわるエピソードも最後に書いておきたかった。それは2018年のフジロックが終わったいまわたしができる、来年に向けての「OSAHO」だ。
 昔行ったイギリスの「グラストンベリー・フェスティバル」のローリング・ストーンズのライブで、裸足で踊っているおばあちゃんの集団を見たことがある。自分もその年齢になった時、フジロックのクリーンな地面を踏みしめて踊りたい。年をとっていくこと、変化していくことは、フジロックが続く限りきっと楽しいことなのだから。


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